七ふくたいむず2025 11月
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25.11.26

『折れない心』ではなく『しなやかな心』
季節の変わり目や日々の忙しさの中で、「なんとなく調子が悪い」「些細なことで落ち込んでしまう」と感じることがあると思います。
今月は、「レジリエンス」という言葉と、「自律神経」関係について紹介します。
少しでも皆さんの心が軽く、健やかになるヒントになれば幸いです。
まず、「レジリエンス(Resilience)」という言葉をご存知でしょうか?
心理学の世界では「精神的回復力」や「復元力」と訳されます。
多くの人が「ストレスに強い」と聞くと、「鋼のようなメンタル」「何があっても動じない強さ」「ひたすら我慢」をイメージされるかもしれません。
しかし、本当のレジリエンスは少し違います。
それは、「竹」や「柳」のようなしなやかさです。
強風(ストレス)が吹いたとき、硬い木はポキッと折れてしまうことがあります。
しかし、柳の木は風に合わせてしなり、風が止めばまた元の姿に戻ります。
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ストレスを感じて凹んでもいい。
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辛い時は辛いと言ってもいい。
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でも、そこから時間をかけて元の自分に戻ってこられる力。
これが、本当の意味でのレジリエンスです。
そして、この「戻る力」を支えているのが、「自律神経」です。
自律神経は「車のアクセルとブレーキ」
自律神経には、活動モードの「交感神経」と、リラックスモードの「副交感神経」の2つがあります。
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交感神経(アクセル): 緊張している時、仕事中、ストレスを感じている時に働きます。
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副交感神経(ブレーキ): 眠っている時、お風呂に入っている時、安心している時に働きます。
健康な状態とは、このアクセルとブレーキが、状況に合わせてスムーズに切り替わる状態のことです。
しかし、現代社会はスマートフォンからの絶え間ない情報や、人間関係の悩み、不規則な生活などで、常に「アクセル(交感神経)」が踏みっぱなしになりがちです。
ブレーキが効かなくなると、体は休まらず、心もしなやかさを失ってしまいます。
つまり、自律神経のバランスが乱れると、レジリエンス(回復力)が低下してしまうのです。
「しなやかな心」を育てるための処方箋
では、どうすれば自律神経を整え、レジリエンスを高めることができるのでしょうか?
1. 「吐く」ことを意識した呼吸法
不安や緊張を感じた時、呼吸は浅く速くなっています。
そんな時は、「1吸って、2吐く」リズムを意識してみてください。
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鼻から4秒かけて息を吸う。
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口をすぼめて、8秒かけてゆっくり息を吐き切る。
「吐く」動作は、副交感神経(ブレーキ)のスイッチを入れます。
これを数回繰り返すだけで、体は物理的に「リラックスモード」へと切り替わります。
「心」を落ち着かせるのが難しい時は、まず「体(呼吸)」からアプローチするのが医学的な正解です。
2. デジタル・デトックスの時間を持つ
寝る前のスマートフォンは、脳に強い光の刺激を与え、交感神経を興奮させてしまいます。
結果、睡眠の質が下がり、翌日の回復力が落ちてしまいます。
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寝る1時間前はスマホを見ない。
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食事中はテレビやスマホを消して、味わうことに集中する。
これだけで、脳の過労を防ぎ、自律神経の回復を助けます。
3. 「まあ、いいか」の考え方
真面目な方ほど、「こうでなければならない」という思考(完璧主義)に陥りがちです。
これは常に交感神経を刺激する考え方です。
失敗したり、思い通りにいかない時は、口に出して「まあ、いいか」「今はこれが精一杯」と言ってみるのもいいかもしれません。
自分自身に「許可」を出すことで、心の緊張が緩み、副交感神経が働き始めます。
自分を許すことは、弱さではなく、回復するための戦略でもあります。
ひとりで抱え込まない
レジリエンスは、筋肉と同じで、適切なケアとトレーニングでいくつになっても高めることができます。
しかし、筋肉痛がひどい時に無理にトレーニングしてはいけないように、心が疲れ切っている時に無理に「強くなろう」とする必要はありません。
そして誰かを頼ることも大切です。
それが、家族であり、友人であり、時には医療機関であってもいいと思います。
当院では、お薬による治療だけでなく、生活習慣のアドバイスや、運動療法、栄養指導、漢方を用いた体質改善など、一人ひとりの「自然治癒力」を引き出すお手伝いをしています。
些細な事でもお気軽にご相談ください。
柳のようにしなやかに、心地よいバランスを探していきましょう。
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